「この金属どうなってるん?何か熱変形が酷いんやけど . . .」

「最悪 . . .センタースルードリルが潰れた(/ω\)」

 

こんにちわ!(^^)!

管理人のhaseです。

私の仕事は金属加工業です。日々油と鉄粉にまみれて仕事しています(‘◇’)ゞ

 

そんな仕事ですが、中には複雑な特性を持った金属があるんです。

その一つにS32750。

 

これはスーパー二相系ステンレスと言い、ステンレスの中では特に強度が高く海水に強いステンレスの金属なんです。

ステンレスと聞けば熱変形が鉄に比べて大きいのは知られたお話。その中でも更に変形が酷く難削材になります。

 

この素材、どれだけ熱変形があってどの様な特性なのかはマニュアルだけでは分かりません実際に加工した者でなければ分からない部分が大きいんです。

今回そんなS32750について、特に穴開けで悩んでおられるあなたに向けて、金属加工歴25年の私が加工条件をお伝えしていきますね。

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S32750の材質特性とは?

まず、この素材の加工特性についてなんですが、難削材と言うだけあって普通に加工すれば完成とはいきません。

ここにどういった特性なのか挙げますね。

 
  • 粘っこく硬い
  • 熱変形が普通のステンに比べて大きい
  • 特にこの素材でリング形状の加工は難しい
  • 穴開け加工後、仕上げ加工しないと熱による変形で失敗する恐れがある
 

この様な加工特性になります。

「じゃ、どの様にすれば . . .」

 

普通のステンよりシビアに考えて加工する必要があります。

 

ここに大まかな流れを書きますね♪
  1. 図面寸法より1mm取り代を残して、まずは旋盤で荒加工する
  2. 荒加工による余熱を考慮して一日置く
  3. 今度は仕上がり寸法より0.3mm残して中仕上げをする
  4. 穴加工をする
  5. 穴加工後、旋盤加工で仕上げ加工をする
 

この様な流れになります。

※ポイントは熱変形を考慮する事です。

 

お次は、それらを踏まえて穴加工をお伝えしていきますね。

S32750の穴加工

S32750はセンタースルーで穴加工すると、いきなりドリルが潰れる恐れがあります . . .

これが一番厄介なんです(/ω\)

 

 

※豆知識

センタースルーとは、ドリルの先端から切削水を出して高速回転で穴を開けるドリルの事です。

これにする事で普通のハイスドリルの10倍程の速さで穴を開ける事が出来ます

 

なので、

 
  • 14.0以下の穴はセンタースルーで穴加工
  • 14.0以上の穴はハイスドリルで穴加工
 

これで穴加工をします。

 

 

センタースルー加工の条件

ここに例を挙げますね。

 

その1

センタースルーによる加工条件は14.0のドリルだと、

S300

F30

で加工。

 

その2

M12の下穴10.2穴で

S600

F70

これ位の条件で穴加工しています。

 

 

 

センタースルーによる熱変形について . . .

14.0以下のセンタースルーだと熱変形はほぼありません。径方向で0.02以下の変形です。

 

 

で、問題の14.0以上の穴加工について。

17.0の穴をセンタースルースルーで穴加工するとドリル先端が潰れます . . .

最初の10個程なら調子良く穴が開くのですが、途中から変な異音が鳴り出します。急いでドリルを軌道から外すと先がグシャっとなっています。

 

※こちらが潰れたチップ交換式センタースルードリル↓


その時の加工条件はS200 F30で、ドリルはスーパー二相に特化したセンタースルードリル。

これってほぼハイスドリルの条件に近いです . . .

 

めっちゃ慎重な加工条件でしょ。それで駄目ならセンタースルーの意味がありません . . .

S32750はほんと難削材です(*´Д`)

 

お次はこちらです。

ハイスドリルでの加工条件

で、次にした事がハイスドリルによる穴加工。

17.0の穴をS80 F30の条件で穴開け加工します。

 

すると、その条件で穴が100個程、何の問題も無く開きました!(^^)!

これ、凄いドンピシャな条件だと思います!

 

しかも!

ハイスドリルによる周辺素材の熱変形が径方向で0.03以内。幅方向でも0.02以内です。

 

 

あなたもS32750を穴あけ加工する時、この加工条件を強くお勧めします。材料が特殊材なだけに、もし失敗したらかなりのロスになります。

 

穴開け加工で失敗すると、そこに熱が発生するのでS32750の場合、熱変形する恐れがあります . . .

そこに厳しい公差があれば、確実に【公差ハズレ】で製品が失敗に終わります。

 

お次はこちらです。


S32750仕上げ加工について

穴加工が終われば次は最終加工である仕上げ加工です。

 

旋盤加工での仕上公差は
  • 外径がh6やr6、j6など
  • 内径はH6等
  • 幅は0.03以内
となっています。

 

結構な公差ですが、それを可能にするのに中仕上げ加工があります。

記事始めに加工手順を挙げましたが、

荒加工

一日置く

中仕上げで図面寸法より0.3mm取り代を残す

 

この0.3mmの取り代が凄い大事になってきます。

どの様に大事なのか?

 
  • これ以上取り代があると仕上げ加工で熱が入って寸法が入りにくい
  • 穴開けをしているので、その部分を旋削すると断続加工でチップが持たない
  • 断続加工で熱変形が起こる
これらから取り代0.3mmの中仕上げ加工が重要になってきます。

 

では、最後になります。

おしまいに

今回、難削材であるS32750について、特に穴加工にフォーカスしてお伝えしてきました。

もう一度おさらいしますね。

 

加工手順
  1. 旋盤加工で取り代1mmまで追い込む
  2. 荒加工による余熱を考慮して一日置く
  3. 取り代0.3mmまで追い込む
  4. 穴加工
  5. 旋盤で仕上げ加工
 

 

 

穴加工について
  • 14パイ以下の穴加工はセンタースルードリルで加工可能
  • 14パイより大きい径の穴についてはハイスドリルで加工する事
 

 

この様になります。

ハイスドリルでの穴加工は時間が掛かり、どうかと思われがちですが、センタースルーで加工するとドリル先端が壊れます . . .

 

充分な安全マージンを考慮して加工してくださいね。

 

では、失礼します。

 

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